光があれば、影がある。
影があるから、光がある。
光は洋服を白く染め、
影は洋服を黒く染める。
光に影を。影に光を。
光は消えても、その影が消えないように。
影は消えても、その光が消えないように。
目にはみえないかたち。
それをみようとすること。
触れることもできないかたち。
それを感じようとすること。
かたちのないかたち。
それをかたちにすること。
無形なものにもかたちはある。
身長や袖丈における長さや短さ。
バストやウエストにおける太さや細さ。
これら人の身体を
基準として定められた、
長さ、短さ、太さ、細さ、は
絶対的だろうか。
身体という洋服における定規を問い直すこと。
定規を変えない限り新しい洋服は生まれない。
扉に浮かび上がるシルエット。
Tシャツ、ジャケット、スカート、パンツ。
象徴的な意味をもつ
これらのシルエットは、
扉の向こうで全く異なる
アイテムに変換される。
立体を平面に置き換え、実体と影の差異を示す事で、
衣服のかたち、輪郭についての問いかけを行う。
光と影が一致するとは限らない。
遙か晴る──ハルカハル
朝露の珠つぶて、
蓮華の花にみる、遙か晴る。
ひとり梢の声に想う、
それでも帰らない春。
夏も優しい秋も乾いた冬も、
届かぬ想い。
さくら咲くはずの枝、
唄をうたえば背中をつつく。
(杉原一平『遙か晴る』)