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2017-05-10

ANREALAGE 2017-18 A・W 'ROLL' EXHIBITION at TRUNK

ANREALAGE 2017-18 A・W 'ROLL' EXHIBITION at TRUNK
ANREALAGE 2017-18 A・W 'ROLL' EXHIBITION at TRUNK ANREALAGE 2017-18 A・W 'ROLL' EXHIBITION at TRUNK ANREALAGE 2017-18 A・W 'ROLL' EXHIBITION at TRUNK ANREALAGE 2017-18 A・W 'ROLL' EXHIBITION at TRUNK

次の時代へ

新たな扉を開いて、次の世界に進みたい。
前回のコレクションの後、そう語っていたANREALAGE(アンリアレイジ)のデザイナー森永邦彦さん。

いつになく熱を帯びていたその言葉は、今回のコレクションへの決意を感じさせるものでした。

高まる期待を胸に、パリからの中継開始を待ち構える深夜1時。ショーが始まり最初に現れた2体の服を見た瞬間、このコレクションがANREALAGEの歴史の中で、とても重要なものになることを確信して、ひとり小さくガッツポーズ。「やった...」思わずそうつぶやいてしまいました。


時代性を削ぎ落とされた、不思議な形とテクスチャの服

実は300mものデニム生地のロールをドリルで削って作られた服です

足元に積もっているのは、生地を削ったときの削りかす

服を作るということの概念を塗り替える服

ドリルで削り出す様子は、映像の冒頭部分で見ることができます

削り出された服

驚愕の方法で作られた、2体の服。
それは通常のように布を縫い合わせたり、糸を編んだりするのとは、全く異なる方法で作られています。

まず用意されたのは、300mものデニム生地を巻きつけたロール。ただ巻くだけでなく、固く接着され、塊となったその生地を、ロボットアームに取り付けたドリルで削り、彫刻のように彫り出したのが、この2体の服です。

服を作るということの概念を塗り替えるようなその手法。

渦を巻く木の年輪が木目となって現れるように、巻きつけられた生地の塊から彫り出された服には、布の重なりが模様となって浮かび上がります。

しかし前代未聞のその制作は、かなり困難を極めたのだとか...

そこで森永さんは、アーティストの名和晃平さんにコラボレーションを依頼。名和さん率いるSANDWICHの技術力によって、この彫刻のような服が現実のものとなったのです。

しかし名和さんも布での彫刻を手がけるのは初めてのこと。それはまさに苦闘であり、そして技術の粋を尽くした作業だったそうです。

ショーではこの2体を筆頭に、「ROLL」というテーマのもと生み出された作品の数々が登場。

同心円状に、何重にも何重にも、果てしなく縫い合わされ、縫い目がテクスチャと化した生地でできた、甲冑のようなコート。無数のリボンを巻きつけて作られた、たおやかな動きが美しいドレス。体中をグルグルと這い回るジッパーを開くと、全てが一本の帯状になってしまうブルゾンやスカート。

それは圧倒的な仕事量と、服が生成される工程を再構築する思考から生み出された服たちです。

PATCHWORK ROLL COAT
円形の生地を無数に縫い合わせた縫い目が、テクスチャと化しています。まるで甲冑のような迫力と、美しさが同居する服

SPIRAL FASTENER MA-1
SPIRAL FASTENER SKIRT
体中を這い回るジッパーを開くと、全てが一本の帯状になってしまいます

開かれた扉

「第4の扉を開くことができるか、ですね...」
先シーズンの後、そう語っていた森永さん。

すでに何度か紹介していますが、ANREALAGEの歴史は大きく三つの時代に分けることができます。

第1期は、クラフトの時代。「神は細部に宿る」をテーマに、尋常ならざる仕事量の手業を込めて、見る者を圧倒する服作りをしていた時期です。

第2期は、造形の時代。服が作られるプロセスを疑い、それを解体・再構築することで、新しい服づくりを目指した時期。

第3期は、テクノロジーの時代。他の分野や、先端技術と手を結ぶことで、服やそれを着ることの意味を問い直してきた時期です。

第4の扉とは、これらに続く新しい時代への入り口。つまり大きな転換点を意味しています。

しかし実はそれを突破するための手掛かりは、すでにブランド名に刻み込まれていたのです。

それが「AGE」。奇しくも、まさに“時代”を意味する単語です。

ANREALAGE というブランド名は、A REAL-日常、UN REAL-非日常、AGE-時代という三つの言葉が合成されてできたもの。

REALとUNREALを行き来する表現をしてきた時期を経て、次はAGEをテーマに、新しい服作りを目指す。それが森永さんの掲げるビジョンです。

その出発点となる今回は、年輪に見られる時間の積み重なりを「ROLL」というテーマで表現。それは時代に左右されない普遍的な表情を持った服として、常識を覆すような、新たな表現に到達しました。

ROLL DENIM JACKET
SPIRAL DENIM SKIRT


SPIRAL FRILL BLOUSE
これも無数についたボタンを外すと、帯状になってしまう服

狂気とエレガンス

新しい時代へと突入するANREALAGE。
今回のコレクションを見ると、それがこれまで蓄えた力を全て注ぎ込んだ、総力戦ともいえるものだということに気づきます。

圧倒的な仕事量、服の作り方を根底から覆す思考、それを実現するテクノロジー。どれが欠けても、今回のコレクションにたどり着くことはできません。

つまり、これまでの三つの時代を経たからこそ可能な表現なのだといえるのです。

そしてもうひとつ。
個人的にとても印象深かったことがあります。それは2014年にパリでの初コレクションを発表した後、森永さんが語っていたこと。

パリでも驚きと喝采を持って迎えられたANREALAGE。コレクションは好評を博したけれど、パリでの評価軸として大きなウェイトは、どうやらエレガンスにあるようで、それとどう折り合いがつけられるのかは、まだ見えていない。そんな風に森永さんは言っていたのです。

エレガンスについて語る言葉は、全く持ち合わせませんが、それでも今回のコレクションを見るとANREALAGEはエレガンスさえも武器として身にまとい始めたのではないかと思わされます。

それもパリの価値観に迎合するのではなく、狂気的ともいえる持ち前の仕事量と熱量を貫き通すことで、それをエレガンスにまで昇華させようとしている。そんな風に感じてならないのです。

ところで、第4の扉は無事に開いたのだろうか?

コレクションを終えた森永さんに尋ねてみると、「少し、開いたと思います。」と、控え目な答え。

しかし森永さんの中では、すでにいくつかの構想が動き出しているようで、AGEを巡るANREALAGEの旅は、これからしばらく楽しむことができそうです。

パリに活動の場を移してからの3年。
つらい時期がなかったといえば、嘘になるのでしょう。いやむしろ、これからも楽になることなど、あり得ないのかもしれません。

でもここからが、いよいよその力を見せる時なのだと思わせてくれる、今回のコレクションでした。

 
そんなANREALAGEの過去のコレクションは、こちらで紹介しています。そしてANREALAGEのホームページでも、これまでの全コレクションが見られます。

ANREALAGE 2017-18 A/W 'ROLL' EXHIBITION at TRUNK (HOTEL)

5月13日(土)に原宿にオープンする「TRUNK (HOTEL) 」のオープニングエキシビジョンとして、
パリで発表したANREALAGE 2017-18 A/W COLLECTION 'ROLL' のコレクションピースの展示。 

TRUNK (HOTEL)
「ENVIRONMENT(環境)」「LOCAL FIRST(ローカル優先主義)」「DIVERSITY(多様 性)」「HEALTH(健康)」「CULTURE(文化)」という5つのカテゴリーに注力しながら、
「自分らしく、 無理せず等身大で、社会的な目的を持って生活すること」という「ソーシャライジング」をコンセプトにしたこれまでにないホテル。

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